2010年2月10日水曜日

新型インフルエンザに2度罹患

 今シーズンA型インフルエンザに2回罹患した人がいるという話は聞いていた。新型インフルエンザと季節性のA型(A香港型もしくはAソ連型)に罹ったものと考えていた。わが医院でも1月中旬に6歳の男児が昨年10月に続き2度目のインフルエンザA型に罹患した。2回目なので今度は季節性インフルエンザに罹ったようですねと説明したが、いろいろ調べてみると今シーズンに新型インフルエンザに2度罹患したという症例があることが判明した。きっちりPCR法で新型であることが証明されているものもある。昨年10月以降は季節性インフルエンザウイルスがほとんど分離されていないことからも、あまの小児科の例も新型が2回と考えるのが妥当なようである。2月1日にも16歳の今シーズン2回目のインフルエンザA型例を経験した。

 発熱、咳を認めるとインフルエンザ迅速検査をしてインフルエンザと判ると早急にタミフル、リレンザの投与をする。早い目なら効果も良く治癒するので、十分にインフルエンザ抗体が出来ないうちにウイルスは消滅する。そのため2度目の感染を受けるということのようである。

 季節性では以前の感染やワクチン接種で抗体産生の経験があり、ウイルス感染で治癒までに抗体産生が始まる。新型では抗体産生経験がなく作り始めるまでに時間がかかり、薬で早めに治癒してしまうと十分量の抗体が出来ない。2回目の発病ということになるわけである。

 インフルエンザウイルスは気管の線毛上皮細胞に感染するが、新型インフルエンザは線毛上皮細胞に加えてこれまでにはスペイン風邪にしか見られなかった肺の受容体にも結合し感染が成立するので、発病後早期にウイルス性肺炎を起こし重症化する例を認める。そのために早く検査をして早く治療を始めることに躍起になっている。早く治りすぎるのも問題点を抱えているのだなあと感じた次第である。新型に罹患した人には今シーズンは新型インフルエンザのワクチンはしなくてもよいといってきたが、今ごろになり間違った説明をしてきたのではと、反省しきりのこの頃である。