2011年9月13日火曜日

例年と異なる症状の手足口病


 手足口病は代表的な夏カゼ症候群の疾患です。例年ほとんどがコクサッキーA群16型とエンテロウイルス71型が原因ウイルスとなっています。

 本年の手足口病は小児科経験40年になる私も今まで経験のないもので、これまでのものはあまり発熱は認めなかったが、2日間ぐらい高熱が出た後に手掌、足蹠だけでなくほぼ全身に大きな発疹が出ます。顔面に出現することは少なかったですが、1歳児で0.5㎝程度の大きな発疹が20個も出た人もいました。発疹後1ヵ月も過ぎてから爪が剥がれる人もいました。

 これまでヘルパンギーナの原因ウイルスといわれていたコクサッキーA群6型(CA6)が大部分を占めています。CA6の少し変異したウイルスだったのか子供だけでなく大人の人の感染例が多かったのも特徴の一つです。本院では幸いにも職員の感染例はなかったのですが、医療機関で医療従事者の感染が多かったとの報告があります。

 手足口病など夏カゼ症候群ではウイルス性髄膜炎の合併が約1%といわれていますが、新型の手足口病といっても特に髄膜炎が多かったという報告はなかったようです。

 例年は8月に入れば急速に終息してしまうのですが8月も少人数の発症を認め9月にもまたすこし増加しかけているのではないかという気までします。最近は例年10月末から11月初旬にかけてエンテロウイルス71型による手足口病が流行りますが、それとのオーバーラップで判り難くなるのではないかという懸念まで頭をよぎります。
 


2011年6月7日火曜日

ヒメボタルが群舞



 あまの小児科から西に250メートルぐらい下ったところの手付かずの林と竹林の中にヒメボタルが群舞していました。5月末からホタルが飛び始めたとの噂は耳にしていたのですが、6月3日の9時過ぎ例年の場所に出かけてみました。

 東日本大震災で地震、津波、原発事故、その余波もあり政局も大混乱。

 民主党が党内で主導権争いをしている場合ではないだろうし、自民党、民主党も誰が悪い、党が悪いとか、原発への対応が悪い、いやこれまでの原発建設の基準自体が甘いのだから責任は以前の政権が取るべきだと、罪のなすり合いをしてどんどん対応を遅くしている気がします。

 ホタルが点滅しながらフワフワと飛ぶ姿を眺めていると自然と心が洗われスッキリとした気分になっているのに気づきました。たとえ瞬間であれ晴れやかな気分にさせてくれたホタルに感謝。


2011年2月7日月曜日

ロタウイルス感染

 ロタウイルス感染は現在は便の迅速検査でロタウイルスの有無を免疫反応で判定できるようになっていますが、一昔前までのウイルス分離が困難な時代は白痢、冬季白色便性下痢症という診断名でもっぱら整腸剤と少量の止痢剤、電解質を含んだイオン液の経口投与という治療が行われていました。

 時には8.5㎏の10ヵ月ぐらいの乳児が10数回の下痢と嘔吐を繰り返し一晩で1㎏も体重減少し7.5kgになることも流行時期には結構見かけました。大学病院に勤務していた頃12月、1月頃に一晩に10数人もの脱水症の患者が押し寄せ入院ベッドはすぐ埋まり救急室の外来ベッド3個を順番待ちで点滴していたようなことがありました。

 最近は10月頃から1月2月にかけてはノロウイルス感染が増加し、ノロウイルスに地位を奪われるかのようにロタウイルスは2月から3月に少し流行するようになりあまり重症の脱水症を見かけなくなりました。

 しかし世界中ではロタウイルス感染で1年間に200万人以上の小児が入院し、60万人が死亡しているということです。

 ロタウイルスの予防接種が2006年にできアメリカでは定期接種に組み込まれ、効果が実証されています。日本もHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸癌(HPV)ワクチン、B型肝炎ワクチン、水痘ワクチン、おたふく風邪ワクチン等とともに定期接種ワクチンになることが望まれるワクチンです。