2009年10月2日金曜日

今後承認される新しいワクチン



 厚労省は10月中にも小児用の肺炎球菌ワクチンと子宮ガンを予防するHPVワクチンを承認すると発表した。

 肺炎球菌ワクチンに関して大人用の23価(23種の血清型の肺炎球菌)ポリサッカライドワクチンでは小児には免疫原性が低く抗体産生が悪かったため、肺炎球菌の莢膜から得られた多糖体にジフテリア毒素の非毒性異性体を結合させた7価肺炎球菌結合型ワクチンが開発された。現在小児用肺炎球菌ワクチンは世界95ヵ国で承認され、38ヵ国で定期接種が行われている。アメリカでは2000年から接種が始まり2003年には5歳未満の肺炎球菌感染症の有病率は94%減少している。

 これで乳幼児の細菌性髄膜炎の約60%のインフルエンザ菌b型についで、2位で約20%を占める肺炎球菌ワクチンが揃うことになる。7価の肺炎球菌ワクチンでカバーで来る血清型の割合は髄膜炎の76%と推定される。現在13価のワクチンが開発され国内外で臨床試験中が進行中であるが、13価でカバーできる血清型の割合は髄膜炎の91%とかなりの増加が見込まれる。

 子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは10歳以上の女性が接種対象となる。

 子宮頸がんは性的接触で感染するHPVが原因とされる。

 HPV感染症は非常に一般的なものでセクシャルデビューした若い女性(および男性)で容易に伝播し、女性の80%は生涯に一度はHPV感染すると考えられている。HPV感染の1/1000ががんに進行する。

 国内では毎年7000人が発症し2500人が死亡。世界では年間25万人の女性が死亡している。

 このワクチンにより子宮頸がんの発生および死亡は70%の減少が期待できるという。

 世界の80ヵ国以上で接種が開始されている。オーストラリアのように12~26歳の女性に無料接種が行われている国もある。

2009年9月30日水曜日

新型インフルエンザは大都市圏で大きく増加


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 新型(豚)インフルエンザ(A:H1N1)は28週(7月6日~7月12日)以降増加し続けている。38週は1定点当り患者数は4.95人と先週の3.21人より大きく増加した。都道府県別では沖縄県(12.54)東京都(10.24)大阪府(9.21)北海道(8.21)千葉県(7.31)兵庫県(7.15)神奈川県(7.09)と続いている。沖縄県は34週の46.31をピークとして減少傾向になっているが、他府県は大都市圏を中心に大きく増加している。

 沖縄の経過を見ていると大阪でも10月中ごろにピークに達し、その後は徐々に減少し始めることが考えられるが、次第に気温が下がり冬の訪れとともに流行期に入り一段とインフルエンザウィルスは活発に増殖しやすい季節が来る。今季のA型インフルエンザは新型が主役となる可能性が高いので、このままあまり減少することなく小流行が続き冬の大流行に流れ込むことも考えられている。

 ワクチンの供給も十分でない可能性が高く、罹患しないよう手洗いマスクも大切だが、個人の免疫力も重要である。たとえ罹患しても重症にならないよう普段から規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠を摂り、体力、免疫力を高める努力が必要となる。

2009年8月21日金曜日

沖縄では新型インフルエンザ流行警報発令


��~~沖縄では新型インフルエンザ流行警報発令~~~

 新型(豚)インフルエンザ(AH1N1)が8月10日から16日の1週間に沖縄では定点となっている58医療機関で1717人の報告があり1定点あたり30人となり流行警報発令となった。

 全国平均でも定点あたり1.69人となっている。2位以下は奈良、滋賀、福島、東京、大阪、茨城、高知の都道府県で2人以上となっている。

 私の診療所でも先週高校生が一名、今週中学生が一名新型インフルエンザと判明。

 診療所のレベルでは時間的、空間的に分離して診療することはなかなか困難な状況となっている。

 1人目は来院した自家用車の中で検体採取、診察を行い、A型インフルエンザ陽性が判明したため診療所内に入れずに診療を終えることが出来たが、2人目は患者、家族はインフルエンザとは思わずに診療所内に入ってきたため診療終了後は窓を開放し約30分は他の人を入室させず、空気の入れ替えを行う事態となった。

 1人目は高校のクラブ合宿で感染、2人目は1日缶づめ状態の塾の夏期講習で感染。

 これから夏休みが終わり学校での授業が始まれば感染は急激に広がる可能性が高い。

 現在の新型インフルエンザは季節性のインフルエンザとは毒性にあまり差がないといわれるが、基礎疾患を持った人の死亡が相次ぎ、小児の重症例も各地に発生している。世界中のほとんど誰もが免疫をもっていないことや、今までのインフルエンザでも流行期には死亡率が増加することや小児には脳症を発症させる疾患ということから考えても強毒性ではないにしても弱毒性ではなく中等度毒性のものと考え十分なマスク、手洗いなど感染防御の対策が必要である。しかし感染を完全に防ぐのは困難であるので症状が出たときは早い目の受診、治療が必要となる。ただインフルエンザ迅速検査も高熱を認めてからも12時間以内は陰性のことが多く24時間ぐらいが最も陽性率が高い。早い目の検査で陰性のときは難しい対応を強いられ、集団発生や家族内感染が考えられるときは陰性例にも治療が必要となるケースが出てくるし、単発例にはなかなか治療開始の判断が難しく再検査のため時間待ちをせざるを得ないという医療側のジレンマを抱えている。

2009年7月31日金曜日

関西もクマゼミに占拠された?

 7月31日子供たちも夏休みというのにまだ梅雨明け宣言はまだで、これまでの梅雨明けがもっとも遅かった8月1日はほぼ更新は確実です。

 毎日のように雨の心配をしている有り様ですが、さすがにここ数日は晴れ間にはクマゼミの声がヂーシャッシャッと少しうるさく響き渡ります。確か20年程前まではまだこのあたりの夏のセミはほとんどがアブラゼミで小、中学生の頃はクマゼミは採集できたときには友人に見せて自慢したほどでした。20数年前鹿児島に遊びに行き公園の木にずらっと並んで鳴いているクマゼミに驚嘆した覚えがありましたが、2日前に芝生のテニスコート前の木にはアブラゼミは1匹もいなくてクマゼミばかりが並んでいる様子を見て、あらためて大阪も20数年前の鹿児島並みの暑さになってきたと実感したわけです。

 山口や北九州で豪雨のため、山崩れや洪水が起き、また竜巻の被害も各地で報告されています。

 今や日本中、いや世界中、地球全体が異常の気象になりつつあるような気がしています。

 今年は南米ペルー沖の海水温が上昇するエルニーニョ現象のため世界中で気温、降水量に変化が出るようで、日本では冷夏、暖冬、梅雨明けの遅れ、日本に近づく台風の減少があるようです。

 今冬は新型(ブタ)インフルエンザも流行する可能性が高いと思われますが、インフルエンザウイルスは気温が低く湿度が少ないほうが元気がよく活発に増殖するといわれるのでせめて暖冬で流行が少しでもましに成るのならエルニーニョ現象の日本への影響としては数少ない利点ということになるのではないでしょうか。


2009年7月17日金曜日

日本の南の島々で皆既日食が観測できる


 7月22日には日本では46年振りとなる皆既日食がトカラ列島など南の島々で見られます。日食の皆既の状態は今世紀中では最長で6分半持続します。

 昔は太陽が突然欠け始め世の中が夜になり星が見え始めるのは恐怖の出来事で世界中にいろいろな神話や記録が存在します。

 天照大神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸(アマノイワト)にお隠れになり世の中が真っ暗になってしまった。という神話も日食の状況を現しているものです。

 私が子どもの頃映画の一場面で横綱朝汐扮するタヂカラオが怪力で天岩戸を開け天照大神を呼び戻し世の中に光が戻る場面を記憶しています。

 いま南の島への観測ツアーが多数計画され南の島々は大にぎわいとなるようです。百貨店などでは日食観測グラスが品薄状態なるほどの売れ行きと聞きます。

 私の小学生のころはガラスの破片をロウソクの火であぶりススをつけて日食を覗いたものでした。日食をススのガラス板で見るのも短時間だけにしないと眼が焼けるよと言われた覚えがありますが、眼が焼けるという表現もまんざらウソというわけでもなく、日食が終わればどっと日食網膜症が増加するといいます。

 その点日食観測グラスは太陽の光を赤外線も含め10万分の1しか透さないようで安全性はかなり高いもののようです。直接見る以外には木漏れ日は太陽の形が地面に映ります。

 普通は丸いのであまり意識はしませんが、三日月型の太陽が木漏れ日でいくつも見えるのも大変興味があります。厚紙に1cmほどの穴をいくつか開けても木漏れ日と同じ現象が観察できます。このあたりは部分日食が10時前から12時過ぎまで見られるとのことで22日が晴れていれば、面白そうなので厚紙に穴を空けて待ち構えることにします。


2009年6月15日月曜日

大阪のゲンジボタル


 ヒメボタルの時期がほぼ終わったようなので、6月12日の夜に車で5分ばかりのところにゲンジボタルを見に行きました。見物の人達も多くてにぎわっていました。ストップウォッチでゲンジボタルの点滅を計測してみました。10回で21.6秒でした。1回2.16秒の計算になります。以前インターネットで調べたところではゲンジボタルは4秒間隔に点滅するとのことでしたが約半分の2秒でした。

 東日本と西日本では速さが違うとは聞いた覚えがあったのですが2倍も違うとは驚きでした。

 4秒間隔はどこのゲンジボタルなのでしょうか。

 大阪のゲンジボタルはせわしない?大阪弁で言う「いらち」なのでしょうか?

 大阪人は並ぶのが嫌い、待つのが嫌いで、いらちの人が多いといわれますが、ホタルまで地域に適合するのでしょうか。

2009年6月10日水曜日

今年のヒメボタル



 昨年6月にあまの小児科のホームページを立ち上げ早くも一年が経ちました。

 院長ブログの一番始めにヒメボタルのことを書いたので、その時季になったのだと6月3日と6月6日にヒメボタルを見に行きました。6月3日は10数匹が乱舞していました。

 6月6日にはカメラとストップウォッチを持って出かけました。近くまで飛んできたので撮った写真を載せます。


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 文献によりますとゲンジボタルは4秒間隔に発光、ヘイケボタルは1秒間隔に発光。ヒメボタルの点滅は速いように思われたので10回の点滅を測定してみると6.3秒と6.7秒でした。平均6.5秒とすれば0.65秒間隔に一回発光しているようです。

 大阪では絶滅危惧種になっているヒメボタルですが今年も健在が確認できほっとした気持です。

2009年5月24日日曜日

新型インフルエンザ


 新型インフルエンザで医療の現場に少し混乱が見られるようです。発熱した時、発熱相談センターに電話をしたが全然つながらないので、診てもらえないかといった電話がかかってきます。

 最近の状勢では海外にいったことがないからといって必ずしも新型インフルエンザではないとはいえないのですが、感染者が複数に出た特定の高校生と接触があるものや周りに感染者がいるのが判っている人以外は受け入れざるを得ない現況です。ただ道を歩いていても、買い物をしていても感染を受ける可能性はあるので、そのうち本物の新型インフルエンザ患者が受診することが起こりえます。

 大阪、兵庫に新型インフルエンザが蔓延している状況に近づいている感じではありますが、今のところ感染者が出れば数日から1週間診療所閉鎖となるのかもしれません。今のところマスク、手洗いで対応していますが大きな病院のように患者の動線を一方通行にして発熱者だけを別に診療することも出来ないのが現実です。あちこちの診療所が休診となれば、より大きな混乱となります。今でも大病院の発熱外来はほとんどパンク状態のようです。

 世の中の人が全員免疫を持っていない(年配、特に60歳以上の人は30%程度結合する抗体を持っているとの報道もあるようですが)疾患が流行すると、誰が、何処で、何時感染が起きるやも知れません。
最近の報道を見ると街のドラッグストアーではマスクは売り切れとなり消毒用アルコールまで品薄です。関西の有名温泉観光地も閑古鳥が鳴いているようです。学校閉鎖、保育所閉鎖で子どもを持つ親は交代で仕事を休み、スーパー、販売店、銀行などにも店の営業を縮小せざるを得ない所も出ています。

 これからもいろいろ想像を越えた社会への影響が出てくると思います。あまの小児科が閉鎖になればどうする・・・これからまだ考えなければならない個人的な問題まで山積みです。