2018年3月28日水曜日

肥満は感染症か




 インドのデュランダー博士が肥満の原因となるウイルス、いわゆる『デブウイルス』を発見したことを、昨年暮に日本のテレビ番組が紹介した。

 食べる量が増えなくても体重が増加するという。

 博士は1988年インドで大量死したニワトリがすべて太っていることを疑問に感じ調査を進め『デブウイルス』と思われるウイルスを発見した。このウイルスを普通のニワトリに与えたところ3週間後には丸々と太った。

 その後アメリカに渡り、ついに『デブウイルス』はアデノウイルス36型と確定したという。このウイルスをヒトに近いサルのマーモセットに投与したところ一定期間後に4倍近くに体重が増加したという。

 人間にウイルスを投与することはできないが、一卵性双生児で一方が肥満、一方が痩せたもので検査したところ太ったものに『デブウイルス』が存在した。その後一般の肥満の人の30%から感染が証明できた。

 以上の報告から、肥満の人の30%がウイルスに感染していたとしても直ちに『デブウイルス』が肥満の原因と言い切ることは困難かもしれないが、ウイルス感染が食欲中枢、満腹中枢を支配する視床下部などへの感染で肥満を引き起こすという仮説は成り立つことかもしれない。フェイクニュースというよりイグノーベル賞候補かもしれない。

2016年5月20日金曜日

ワセリンでアトピー性皮膚炎発病予防の可能性

 2009年加水分解小麦含有の石鹸で小麦アレルギーが発生し、その後小麦製品を食べ呼吸困難に陥る例などがあり大問題になったことをご記憶の方も多いと思います。

 特にそのことをきっかけに食物アレルギー発症が消化管で感作されるより皮膚感作のほうが多いのではないかと考えられるようになりました。消化管は消化液でアレルゲンに成りうる蛋白質などを分解することや、消化管粘膜の表面は粘液で覆われ保護されていることからアレルギー感作が起こりにくいのに対し、皮膚は特に荒れている場合などでは直接に皮膚からアレルゲンが入り込み感作され易くなります。美白のためのレモンやキュウリのパックで、反対に色素沈着が残った例などはよく知られています。食品や天然のものは安全性が高いというように妄信する傾向にあるようですが、かえっていろいろなものを含有する天然ものこそ危険性が大きいのかもしれません。

 以前から皮膚がカサカサする人や、両親にアトピー的な傾向のある人には臀部、頚部、顔など、汚れは洗い流してガーゼ、タオルなどで擦るのではなく指のはらなどでやさしく洗い、一日に何回かワセリンを塗るように指導してきました。このたび動物実験ではありますが裏づけとなるようなデータが発表されました。

 4月25日付けの米科学誌に理化学研究所の吉田尚弘医師らのグループにより、生後8~12週でアトピー性皮膚炎を発症するマウスを用いて、生後4週よりワセリンを塗り続けたところ、保護機能が改善し、炎症を起こす細胞が皮膚に集まるのを防ぎ長期間アトピーの発症しないことが判った発表されました。

 体質が変わるわけではないので完全にアトピー性皮膚炎がなくなるというわけではないでしょうが、少しでも発症を遅くすることが可能となる期待が高まります。

2013年6月19日水曜日

MERSコロナウイルス感染症

 2012年9月に初めて中東サウジアラビアで60歳男性の急性肺炎、腎不全による死亡例が報告され、新型コロナウイルス感染症と確定されました。病原体はMERSコロナウイルス(Middle East respiratory syndrome coronavirus)と名付けられ2003年に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)ウイルスに似た新型コロナウイルスでした。

 世界中で2012年9月以降2013年6月7日までに感染者55人死亡者31人を数えました。感染者は2013年5月以降に37人と急増しています。感染は中東だけに留まらずヨーロッパ人も11人が感染し、中東で感染したヨーロッパ人以外に5人はヨーロッパ内での感染であったと報告されました。これからの感染拡大も懸念されています。

 このウイルスはコウモリ起源とされていますが感染方法などは不明です。ヒトーヒト感染は濃厚接触感染と考えられています。

 世界保健機構(WHO)も大規模感染の恐れについて注意を呼びかけています。


2013年6月5日水曜日

風疹の大流行


 我国での風疹の2013年度第1~20週の発生数は7540件になった。男性5844件(77.5%)女性1896件(22.5%)であった。年齢別では男性は30~39歳が36%で、女性は20~29歳が43%で最多であった。

 都道府県別発生数では1位東京2186件2位大阪1412件3位神奈川981件となっている。ただ16~18週は5週連続で大阪は風疹発生数1位となっている。例年これから先、風疹発生の増加のシーズンに入るため今後の動向に注意が必要である。

 高槻市では条件付ではあるが本年9月30日までの期間、妊娠を予定、希望している19歳以上の女性と現在妊娠している女性の夫に風疹予防接種(風疹ワクチン、MRワクチンのいずれか)の全額助成事業を行っている。


2013年6月4日火曜日

先天性風疹症候群


 風疹に免疫のない妊婦が妊娠20週ごろまでに罹患すると新生児に心臓病、難聴、目の異常が出る先天性風疹症候群(CRS)が発症する危険性がある。2012年10月から2013年4月までの半年間に10人のCRS児が報告された。このCRS児の母親が風疹に感染した2012年前半に比べ、風疹発生数は飛躍的に増加しているので、CRS児がこれから先増加する可能性は否めない。妊娠するまでにきっちり風疹に対する免疫をつけておく必要がある。風疹ワクチンが免疫をつけるための唯一の手段となる。

2013年1月13日日曜日

『アンコール・ワット遺跡~~~初めての海外旅行』


1月3日から6日までの4日間カンボジアのアンコール・ワット、アンコール・トムなどの遺跡めぐりのツアーに出かけました。

 1日目の夕にアンコール遺跡群のあるシェリムアップに着き、ホテルに入った後、夜店ナイトマーケットの1つに出かけました。

0930

カンボジアの通貨はリエルで1$が4000リエルでした。ただシェリムアップは観光地のためどこでも米ドルが通用しました。米ドルのお釣りはリエルでした。やや戸惑いましたが1000リエルが25円ぐらい、1$が100円ぐらいと考えて換算するとおおむね間違いなかったです。

 物価は全体的に安く食品や絹織物などは日本の価格の半分以下でした。ツアーの女性ガイドにアクセサリー、宝石類も安いですが石はほぼ擬物なので注意が必要と釘を刺されました。

 最初の店でT-シャツに目を留めると「7ドル」もう一枚に目を移すと「7ドル」、そんなものかと店を離れかけると背中に「3ドル」と大声。振り向かず移動。一廻りザット見た後、デイバッグとT-シャツ数点を購入。確かに少し粘ると価格は下がるようでした。

 行きはツゥクツゥクなる馬車の馬の代わりがオートバイの乗り物で移動。おおむね市内は舗装されていますが穴ぼこも多く乗り心地は決して良いとは言い難いですが、初めての経験で新鮮味もあり満足しました。帰りはブラブラ周囲の屋台を横目に見ながらホテルに帰着。シェリムアップは人口90万人の大都会ですが道路の信号は5つだけとのこと。中心部から少し離れた田舎では高床式の建物に住み電気も通っていません。田舎で電気をつけるにはオートバイのバッテリーで発電して明かりを灯すようです。普通は暗くなると眠り、日の出前には起きる生活のようです。

 治安は割合良い感じで、泊まったホテルは観光地シェリムアップで数本の指に入る立派なもので日本人のスタッフ1名、フロントの人間も片言の日本語はしゃべれるようでした。客の40%は日本人と日本人に人気のホテルとのことでガイドブックによると日本人料理人の居る日本食レストランもあるとのことでした。ほかに中国人向き、韓国人向き、欧米人向きのホテルもあるようです。

 以前は観光客は日本人が一番多かったようですが、現在は1位中国人、以下韓国人、ベトナム人、4位に日本人とのことでした。

 2日目は早朝からアンコール・ワットの日の出の見学に出かけました。西側から見ると、6時40分にアンコール・ワットの塔の南側にご来光を目にしました。

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 朝食後アンコール・ワットの中の観光です。

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第一回廊、第二回廊で砂岩に浮き彫られた彫刻を見た後、第三回廊、中央塔にも登りました。石の階段は狭く急で登れないので、その上に手すり付きの木の階段を付けたところを一人ずつゆっくりと上るという有様でした。その上遺跡にかかる重量の制限も有り、当然長蛇の列となりました。欧米系の人も多く英語、フランス語、ドイツ語、??語も聞こえてきます。もちろん大声の中国語も飛び交っています。欧米人は礼儀正しく少し身体が触れるとソーリー。列も行儀よく並んでいました。中国人は1人並んでいるところに何人もが大声で流入。

 夕方はアンコール・ワットからの夕日の観賞でした。日の入り前にポイントに入り待つ事になりました。20分ほど周りをウロウロするとガイドが近くのナツメの実を採り食べさせてくれました。2cmほどの実を恐る恐る囓ると柔らかめのリンゴのようで甘酸っぱく1cmほどの種が入っていました。近くにいた男性ガイドが地面を指差し、来いというので行ってみるとなんと皆が歩いている通路のすぐ傍1mの草の上に真っ黒のサソリがいました。

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じっとしているので生きていないのかと思いまわりの地面を足でポンポン。すばやく90度ほど方向を変えハサミを持ち上げ、おしりの毒針をかかげ威嚇。慌てて後ずさりしました。

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跳びかかる様子はないのでじっくり観察。動物、虫、植物好きの私にとっては今回の旅行の収穫の最上級の1つとなりました。ほかにもアサギマダラや見たことのないきれいな珍しい蝶もあちこちでフワフワ花に戯れているようでした。

 3日目はアンコール・トムや他の遺跡見学です。それぞれに特徴があり丁寧な説明があるのですが、なかなか違いが頭に入らず石の彫刻の迫力、繊細さに加え先人の努力に感心するだけとなってしまいました。壁の四方に2mもの観世音菩薩の顔が彫られたものの林立するところや大きな石の壁に細かいきれいな彫刻の浮き彫りなどあきることのない遺跡見学でしたが、まだ十分に修復されていない石を上り下りしながらの見学でさながら山登り気分でもありました。

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 昼間は30度近くにもなりますが乾季だったこともあり割合さらっとしてすごし易く、汗をかいても軽微でした。

 ツアーの女性ガイドは田舎からシェリムアップに出てきて2年間日本語学校で勉強してガイドの試験を受け、日本の旅行会社の試験を受け合格して仕事ができるとのことでした。母国語のクメール語は英語の文法と同じだが、日本語は文法が異なるのに加え字も4種類あるので難しいとのことでした。4種類?と聞き直すと「ひらがな、かたかな、漢字の訓読み、漢字の音読み」とのことでした。ガイドは一日の仕事の時間が長くハードなので女性のガイドは少なく女性はホテルなどに勤めるものが多いとのことでした。

 カンボジアは珍しくパスポートだけでなくビザも必要な国で、飛行機も直行便はなくベトナムもしくタイなど経由で少し旅行前に手間がかかりますが時差は2時間と身体への負担は少ないものでした。今回は始めての海外旅行で、私の海の外の旅行といえば日本に返還されて2年後の一般人がようやく旅行できるようになった最初の昭和47年4月に行った片道44時間もかかる船旅の小笠原です。小笠原8日間、東京2日間、船4日間の旅で14日間と長旅でしたが東京都小笠原村でそのときはもうすでに外国ではありませんでした。

 1月6日午前6時に関西空港に着き4日間といっても実質2日間の短い旅でした。大満足というほどではなかったですが中程度には楽しめた旅でした。

2012年9月8日土曜日

9月から不活化ポリオワクチンが定期接種に


 8月末で生ポリオワクチンが定期接種から外れ9月から不活化ポリオワクチンが取って代わることになった。生ワクチンでは弱毒されたワクチンが人の身体を通ることで先祖返りしてウイルスの毒性が復活するにより、便からの2次感染でごく稀に手足の麻痺がでることもあり、不活化ポリオワクチンの登場となった。ただ不活化ポリオワクチンにも副作用が全くないわけではなく他のワクチンと同様、接種後に発熱することもあり、稀にけいれんやショック症状の出る可能性も指摘されている。

 これまでの生ワクチンでは2回接種であったのが、不活化ワクチンでは1期3回と約1年後の1期追加の合計4回皮下接種となる。他にもヒブワクチン、肺炎球菌ワクチン、ロタウイルスワクチン、B型肝炎ワクチンなど最近接種することになったワクチンに加え、DPTワクチン、BCGワクチンと、より接種スケジュールが過密になることも問題点の1つとなっている。

 今のところ不活化ポリオワクチンの4回目の1期追加分は、治験がまだ済んでおらず定期接種としては認可されていない。しかしそう遠くない時期には(平成25年1月頃か)定期接種に組み入れられる予定となっている。
11月以降DPT3種混合ワクチンに不活化ポリオが加わった4種混合が始まるが、接種年齢の人は先延ばしすることなく、出来るものから接種計画を立て速やかに接種することが大切となる。

2012年5月21日月曜日

金環日食


 5月21日朝少しだけ早起きして6時半ごろよりたぶん大阪では私の目の黒いうちには訪れない金環日食を観測しました。

 日食グラスは2週間ほど前に本屋に出かけ入手しました。少し前は種類も多かったようですが3種類だけになっていました。中では一番廉い950円のものを買いました。あとは天気の良いことを願い万全の準備としました。1週間前の天気予報では曇りで、なかなか晴れの予報を出してくれないので心配だったのですが、結局は100%の快晴ではなかったですが、雲は少しで80%ぐらいは晴れでした。何とか納得のできる観測となりました。

 カメラの前に日食グラスをかざして最大限望遠にして撮影した写真をアップします。手持ちなので手ぶれして満足とはいえませんが〈自己満足のみ〉見て下さい。

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 突然ですがクイズです。日食では三日月状の太陽も見られましたが、月は次のどの状態でしょうか。
①満月
②上弦の月
③新月
ヒントとしては太陽と地球に対する月の位置関係。


2012年2月23日木曜日

インフルエンザが大流行


 今冬のインフルエンザは一昨年の新型インフルエンザで大騒ぎをしたときの罹患人数を上回る大流行となっているようです。

 ここ高槻の日吉台あたりでは1月中旬よりインフルエンザが流行し始めました。

 今冬の流行の特徴は例年ではA型の流行がほぼ終息した2月末からB型流行が2週間ほど見られインフルエンザ流行が終了というパターンでしたが、今シーズンは最初からB型の流行が認められ、あまの小児科では4割ぐらいを占めています。

 A型、B型が流行しているので、A型とB型同時罹患の人が多いのも今までに経験のない特筆すべきことでした。6年程前にインフルエンザ迅速検査でA、Bとも陽性の小児がいました。少し半信半疑の気持がしたのを覚えています。本年はなんと2月3日に1名、2月18日に2名、2月20日に3名と合計6名の同時罹患の4歳から9歳の小児がいました。親御さんはA、B同時罹患で重症化するのではと心配されましたが、特別に重症になる事はないし、治療も変わりはなくノイラミニダーゼ阻害剤(タミフル、リレンザなど)5日間の使用でよいと説明しました。結局症状の推移は単独のものと同じでした。同時に罹れば1回で済み、よかったという考え方もあるかもしれません。

 2月以降B型陽性の人が7割ぐらいになっているので、さすがにぼちぼち終息に向っていると思います。しかしまだ気を弛めることなく、手洗いマスクに加え十分な栄養と運動で体力保持に勉めインフルエンザをはね返す必要な期間がまだ少し続くものと思われます。


2011年9月13日火曜日

例年と異なる症状の手足口病


 手足口病は代表的な夏カゼ症候群の疾患です。例年ほとんどがコクサッキーA群16型とエンテロウイルス71型が原因ウイルスとなっています。

 本年の手足口病は小児科経験40年になる私も今まで経験のないもので、これまでのものはあまり発熱は認めなかったが、2日間ぐらい高熱が出た後に手掌、足蹠だけでなくほぼ全身に大きな発疹が出ます。顔面に出現することは少なかったですが、1歳児で0.5㎝程度の大きな発疹が20個も出た人もいました。発疹後1ヵ月も過ぎてから爪が剥がれる人もいました。

 これまでヘルパンギーナの原因ウイルスといわれていたコクサッキーA群6型(CA6)が大部分を占めています。CA6の少し変異したウイルスだったのか子供だけでなく大人の人の感染例が多かったのも特徴の一つです。本院では幸いにも職員の感染例はなかったのですが、医療機関で医療従事者の感染が多かったとの報告があります。

 手足口病など夏カゼ症候群ではウイルス性髄膜炎の合併が約1%といわれていますが、新型の手足口病といっても特に髄膜炎が多かったという報告はなかったようです。

 例年は8月に入れば急速に終息してしまうのですが8月も少人数の発症を認め9月にもまたすこし増加しかけているのではないかという気までします。最近は例年10月末から11月初旬にかけてエンテロウイルス71型による手足口病が流行りますが、それとのオーバーラップで判り難くなるのではないかという懸念まで頭をよぎります。
 


2011年6月7日火曜日

ヒメボタルが群舞



 あまの小児科から西に250メートルぐらい下ったところの手付かずの林と竹林の中にヒメボタルが群舞していました。5月末からホタルが飛び始めたとの噂は耳にしていたのですが、6月3日の9時過ぎ例年の場所に出かけてみました。

 東日本大震災で地震、津波、原発事故、その余波もあり政局も大混乱。

 民主党が党内で主導権争いをしている場合ではないだろうし、自民党、民主党も誰が悪い、党が悪いとか、原発への対応が悪い、いやこれまでの原発建設の基準自体が甘いのだから責任は以前の政権が取るべきだと、罪のなすり合いをしてどんどん対応を遅くしている気がします。

 ホタルが点滅しながらフワフワと飛ぶ姿を眺めていると自然と心が洗われスッキリとした気分になっているのに気づきました。たとえ瞬間であれ晴れやかな気分にさせてくれたホタルに感謝。


2011年2月7日月曜日

ロタウイルス感染

 ロタウイルス感染は現在は便の迅速検査でロタウイルスの有無を免疫反応で判定できるようになっていますが、一昔前までのウイルス分離が困難な時代は白痢、冬季白色便性下痢症という診断名でもっぱら整腸剤と少量の止痢剤、電解質を含んだイオン液の経口投与という治療が行われていました。

 時には8.5㎏の10ヵ月ぐらいの乳児が10数回の下痢と嘔吐を繰り返し一晩で1㎏も体重減少し7.5kgになることも流行時期には結構見かけました。大学病院に勤務していた頃12月、1月頃に一晩に10数人もの脱水症の患者が押し寄せ入院ベッドはすぐ埋まり救急室の外来ベッド3個を順番待ちで点滴していたようなことがありました。

 最近は10月頃から1月2月にかけてはノロウイルス感染が増加し、ノロウイルスに地位を奪われるかのようにロタウイルスは2月から3月に少し流行するようになりあまり重症の脱水症を見かけなくなりました。

 しかし世界中ではロタウイルス感染で1年間に200万人以上の小児が入院し、60万人が死亡しているということです。

 ロタウイルスの予防接種が2006年にできアメリカでは定期接種に組み込まれ、効果が実証されています。日本もHibワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、子宮頸癌(HPV)ワクチン、B型肝炎ワクチン、水痘ワクチン、おたふく風邪ワクチン等とともに定期接種ワクチンになることが望まれるワクチンです。


2010年8月30日月曜日

夏の旅行で暑気払い

 8月も下旬となり夏休みも終わりを告げます。ぼちぼち秋風が感じられてもより頃のはずですが、今年はまだ連日35℃以上の猛暑が続いています。

 私は夏の間も懲りずに週に2,3回は炎天下でテニスをしています。ただ熱中症予防に冷水に塩分やクエン酸など加えたものを十分用意しています。

 今年の夏は2回車で遠出をして暑気払いをしました。
��月の18,19の連休は私にとって初めての島根旅行でした。17日午後に出発して中国縦貫から米子自動車道に乗り大山を横目に見ながら一目散に玉造温泉を目指しました。翌18日は松江城、宍道湖、イングリッシュガーデン、出雲大社から世界遺産となった石見銀山にいきました。石見銀山では山道はカンカン照りでしたが、坑道(間歩)に一歩踏み入れると気温15℃の別世界でした。汗もすっかり引き約15分の心地よいひと時でした。18日の夜は立久恵峡温泉でした。

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 翌日目の前に聳え立つ立久恵峡の雄大な眺望に圧倒されました。19日はパワースポットとして最近一躍有名となった須佐神社から八雲風穴を訪れました。風穴の中に入ると最下部はなんと5℃の冷蔵庫でした。

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 その後今回の旅行の目玉の一つ足立美術館に向かいました。さすがミシュラン3星の日本庭園に見ほれました。帰途につく前に鳥取に入り境港に立ち寄り、鬼太郎、ねずみ男に会ってきました。毎朝、朝ドラであっているので“ちょっこし”うれしかったです。

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 8月のお盆は八ヶ岳のふもと、長野県富士見町の昔なじみのペンションで3日間を過ごしました。標高1200メートル程度で夜間は20℃以下になります。つかの間の骨休めとなりました。

 今回は主に隣の山梨県中心に動きました。ワイナリーもたくさんありました。下戸の私はもっぱら運転手でした。8月14日は甲府、昇仙峡散策でした。涼しい川沿い5キロのハイキングでした。滝や奇岩の渓谷美に約2時間半酔いしれました(ワインで酔うことはなかったのですが)。昇仙峡ロープウエイは私は高所が余り得意ではないので乗りませんでしたが、妻、娘の女三人の話ではロープウエイで上った後まだ弥三郎岳の頂上まで鎖を伝って這いつくばって頂上に立つと、狭くて滑り落ちそうになり、恐怖感で身体の芯から冷えたとのことでした。

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��月8月の2回の旅行とも大阪の猛暑とは違い涼感でいっぱい。命の洗濯ができた感じがしました。


2010年6月2日水曜日

百日咳は大人の病気になった?


 百日咳は特有のけいれん性の咳嗽発作(痙咳)を特徴とする病気です。

 母親からの経胎盤の移行抗体がほとんどないため乳児早期から罹患します。乳児では生命を脅かすことも稀ではありません。

 私も26、7年前、市中病院に勤務していたとき1ヵ月ぐらいの間隔で生後28日目と30日目の2名の百日咳乳児を診たことがあります。発作のないときは呼吸音も正常ですが、ひとたび発作が起これば幼児の発作のように連続する咳嗽ではなく、咳が出せず詰まって無呼吸となりチアノーゼ出現という状態となります。足の裏をたたくなど皮膚の刺激を与えようやく呼吸が始まります。どちらの時も7日から10日間ほとんど横につききりだったという覚えがあります。

 国立感染症研究所の報告によると20歳以上の成人の百日咳例が年々増加し続け、2000年には成人は2.2%だったのが2009年には40.5%、2010年度は第18週(5月9日)までに56.8%と20歳未満より多くなりました。

 全国約3000ヵ所の小児科定点の報告からの集計なので成人の実数はもっと多い可能性もあります。

 成人の百日咳は典型的な痙咳となることは少なく、かなりの長期間咳嗽が続くのが特徴なので、百日咳の診断がついていない例も多数存在すると思われます。

 成人例がワクチン未接種の乳児への感染の原因となることが考えられ注意が必要です。

 現在は百日咳のワクチンはDPTとしてI期3回追加1回の4回だけでII期のDTワクチンには含まれていません。成人例の増加から見ても早期にII期のワクチンに百日咳を含める必要性があると思います。

2010年4月19日月曜日

小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー)

 小児用肺炎球菌ワクチンが本年2月24日ようやく発売にこぎつきました。これで乳幼児の細菌性髄膜炎の原因の第1位のインフルエンザ菌b型(Hib)第2位の肺炎球菌が揃うことになりました。5歳未満の細菌性髄膜炎はHibが10万人当り6.6人/年、肺炎球菌が2.4人/年です。プレベナーは2000年に米国で承認されて以来2010年1月現在世界101ヵ国で承認、45ヵ国で定期接種に組み込まれています。米国では2000年に比べ2003年には5歳未満の侵襲性肺炎球菌感染症は94%減少し有効性が証明されています。

 高齢者の肺炎予防に用いられる23価の肺炎球菌ポリサッカライドワクチンでは乳幼児には免疫原性が低く、効果があまり望めず使用が限定されていました。プレベナーは肺炎球菌由来サッカライドに無毒化変異ジフテリア毒素を結合させて免疫原性を高めた7価の結合型肺炎球菌ワクチンです。接種は生後2ヵ月から9歳までの小児に接種しますが、2ヵ月から6ヵ月の乳児には1ヵ月以上の間隔で3回接種し、その後追加を12ヵ月から15ヵ月の間に1回行います。7ヵ月から11ヵ月では2回と追加1回、1歳では1回と追加1回、2歳以上は1回だけの接種です。


2010年2月10日水曜日

新型インフルエンザに2度罹患

 今シーズンA型インフルエンザに2回罹患した人がいるという話は聞いていた。新型インフルエンザと季節性のA型(A香港型もしくはAソ連型)に罹ったものと考えていた。わが医院でも1月中旬に6歳の男児が昨年10月に続き2度目のインフルエンザA型に罹患した。2回目なので今度は季節性インフルエンザに罹ったようですねと説明したが、いろいろ調べてみると今シーズンに新型インフルエンザに2度罹患したという症例があることが判明した。きっちりPCR法で新型であることが証明されているものもある。昨年10月以降は季節性インフルエンザウイルスがほとんど分離されていないことからも、あまの小児科の例も新型が2回と考えるのが妥当なようである。2月1日にも16歳の今シーズン2回目のインフルエンザA型例を経験した。

 発熱、咳を認めるとインフルエンザ迅速検査をしてインフルエンザと判ると早急にタミフル、リレンザの投与をする。早い目なら効果も良く治癒するので、十分にインフルエンザ抗体が出来ないうちにウイルスは消滅する。そのため2度目の感染を受けるということのようである。

 季節性では以前の感染やワクチン接種で抗体産生の経験があり、ウイルス感染で治癒までに抗体産生が始まる。新型では抗体産生経験がなく作り始めるまでに時間がかかり、薬で早めに治癒してしまうと十分量の抗体が出来ない。2回目の発病ということになるわけである。

 インフルエンザウイルスは気管の線毛上皮細胞に感染するが、新型インフルエンザは線毛上皮細胞に加えてこれまでにはスペイン風邪にしか見られなかった肺の受容体にも結合し感染が成立するので、発病後早期にウイルス性肺炎を起こし重症化する例を認める。そのために早く検査をして早く治療を始めることに躍起になっている。早く治りすぎるのも問題点を抱えているのだなあと感じた次第である。新型に罹患した人には今シーズンは新型インフルエンザのワクチンはしなくてもよいといってきたが、今ごろになり間違った説明をしてきたのではと、反省しきりのこの頃である。

2010年1月14日木曜日

来年以降のインフルエンザワクチンはどうなる?

 新型インフルエンザ流行のためか、季節性インフルエンザは毎年流行の始まる12月には全国的にほとんど分離されなかったようです。

 国立感染症研究所は世界的にも同じような状況にあると述べています。

 季節性インフルエンザの流行が全然ないとは考えにくいですが、新型インフルエンザは流行が治まりつつあるとはいうものの、終息に入るとは考え難いので、A香港型(H3N2)はともかく少なくとも新型と同じタイプのAソ連型(H1N1)は大きな流行にはならないものと思われます。

 これまでの人類史上の経験では新しいインフルエンザの世界的流行(パンデミック)があると、新しいウイルスが取って代わる現象が起きているので来年からすぐにと言う訳ではないかもしれないが、近い将来インフルエンザワクチンは新型インフルエンザ(豚AH1N1)とA香港型(H3N2)とB型の組み合わせとなる可能性が高いものと私は考えています。


2010年1月13日水曜日

初めての新潟旅行

 昨年の10月頃より新型インフルエンザの嵐が吹き荒れ大変でした。その上インフルエンザワクチンも国の方針が刻々変わり振り回され続きでした。ようやく65歳以上の高齢者が1月20日からで、高校卒業以上の人の新型インフルエンザワクチン接種の日程はまだ決まっていません。問題になっている輸入品の新型インフルエンザワクチンの出番はない可能性が高くなっています。ホームページ更新の遅れも新型インフルエンザの対応に追われたせいが大きいです。

 今回精神的と身体的リフレッシュを兼ねて1/9~1/11の連休に新潟に家族旅行に出かけました。(9ヵ月の孫を含め総勢7名)新潟は初めてだったもので屋根まで届く雪を想像して防寒具を詰め込んで出かけたのですが、市内の雪は全部融解していて、山の温泉にも人が踏み込まないところでもせいぜい20~30cmで少しひょうし抜けでした。しかし露天風呂からは一面の銀世界が見渡せ大満足でした。翌日はミニ雪合戦も楽しめました。中学生以来数十年ぶりの大はしゃぎでした。(ニュースで1/13~から今冬4回目ぐらいの寒波が入り新潟は一晩で60~70cmもの大雪が降るとのこと。我々にとってはよかったのか残念だったのか・・・)新潟市内は外気温も5℃~7℃程度と暖かく、あちこちぶらぶら歩き廻りました。あまり見かけたことがないお店でおにぎり屋さんがありました。御寿司屋さんのようにカウンターに座り目の前でおにぎりを注文して握ってもらうというシステムでさすが米どころ新潟ならではでした。水とお米がよいので炊いたお米はぴかぴかに光り、美味なのはいうまでもありません。ほかに地魚使用の居酒屋も多くノドクロ、アマダイ、ヒラメ等々新鮮なものがいただけました。新鮮なだけでなく料金もリーズナブルで、アマダイ一匹の塩焼きも680円とびっくりの値段でした。

 伊丹と新潟空港の往復は70人乗りのプロペラ機でした。20数年前に乗ったYS11以来のプロペラ機でジェットコースター気分で少し足がすくみました。

 東北地方にはあまり縁がなかったのですが、お米がおいしいとまた季節を変えて出かけてみたい気分になっています。やはり日本人ということでしょうか。

2009年10月2日金曜日

今後承認される新しいワクチン



 厚労省は10月中にも小児用の肺炎球菌ワクチンと子宮ガンを予防するHPVワクチンを承認すると発表した。

 肺炎球菌ワクチンに関して大人用の23価(23種の血清型の肺炎球菌)ポリサッカライドワクチンでは小児には免疫原性が低く抗体産生が悪かったため、肺炎球菌の莢膜から得られた多糖体にジフテリア毒素の非毒性異性体を結合させた7価肺炎球菌結合型ワクチンが開発された。現在小児用肺炎球菌ワクチンは世界95ヵ国で承認され、38ヵ国で定期接種が行われている。アメリカでは2000年から接種が始まり2003年には5歳未満の肺炎球菌感染症の有病率は94%減少している。

 これで乳幼児の細菌性髄膜炎の約60%のインフルエンザ菌b型についで、2位で約20%を占める肺炎球菌ワクチンが揃うことになる。7価の肺炎球菌ワクチンでカバーで来る血清型の割合は髄膜炎の76%と推定される。現在13価のワクチンが開発され国内外で臨床試験中が進行中であるが、13価でカバーできる血清型の割合は髄膜炎の91%とかなりの増加が見込まれる。

 子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは10歳以上の女性が接種対象となる。

 子宮頸がんは性的接触で感染するHPVが原因とされる。

 HPV感染症は非常に一般的なものでセクシャルデビューした若い女性(および男性)で容易に伝播し、女性の80%は生涯に一度はHPV感染すると考えられている。HPV感染の1/1000ががんに進行する。

 国内では毎年7000人が発症し2500人が死亡。世界では年間25万人の女性が死亡している。

 このワクチンにより子宮頸がんの発生および死亡は70%の減少が期待できるという。

 世界の80ヵ国以上で接種が開始されている。オーストラリアのように12~26歳の女性に無料接種が行われている国もある。

2009年9月30日水曜日

新型インフルエンザは大都市圏で大きく増加


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 新型(豚)インフルエンザ(A:H1N1)は28週(7月6日~7月12日)以降増加し続けている。38週は1定点当り患者数は4.95人と先週の3.21人より大きく増加した。都道府県別では沖縄県(12.54)東京都(10.24)大阪府(9.21)北海道(8.21)千葉県(7.31)兵庫県(7.15)神奈川県(7.09)と続いている。沖縄県は34週の46.31をピークとして減少傾向になっているが、他府県は大都市圏を中心に大きく増加している。

 沖縄の経過を見ていると大阪でも10月中ごろにピークに達し、その後は徐々に減少し始めることが考えられるが、次第に気温が下がり冬の訪れとともに流行期に入り一段とインフルエンザウィルスは活発に増殖しやすい季節が来る。今季のA型インフルエンザは新型が主役となる可能性が高いので、このままあまり減少することなく小流行が続き冬の大流行に流れ込むことも考えられている。

 ワクチンの供給も十分でない可能性が高く、罹患しないよう手洗いマスクも大切だが、個人の免疫力も重要である。たとえ罹患しても重症にならないよう普段から規則正しい生活を心がけ、十分な睡眠を摂り、体力、免疫力を高める努力が必要となる。